はじめに(2)

本が好きで、本のデザインをさせてもらったり、パッケージデザインをしたり、ありとあらゆるデザインという仕事が入ってくるデザイン会社で、今思えば、技術も何も持ち合わせていないのに、デザイナーとして制作させていただけたことは、本当にありがたく、嬉しく、楽しく、充実していました。

でも、どこかで、自分には何か足りなくて、次へのステップへの道がわからなくて、模索模索の日々。就職難で、東京に行けなかった負け組のレッテルがどこかにあったと記憶しています。
そんなことで、「もしかしたら、東京に行くことがあるかもしれない」と、就職3年目くらいから貯金をし始めました。お金が少し貯まってきたころ、「これは東京に行くくらいじゃこの悶々さは解決しないかもしれない。海外だ!」と思い始め、海外の渡航先を調べはじめました。
英語は、好きな科目の1つだったので、英語圏で安全なところ…というので、カナダか、オーストラリアに絞りました。音楽は、UKロックにハマっていたので、イギリスも考えたけど、食事がまずい!と聞いたので、却下。(本当は、インドとか、東南アジアにも行ってみたかった)
今では考えられないけど、ネットもまだまだ情報がなくて、いろんな本を買って、調べて‥‥という時間のかかるやり方でした(ほんと、今はいい時代)

英語の発音が聞き取りやすいという情報を頼りに、カナダ渡航するためのエージェンシーを通じ、カナダバンクーバーへ行くことを決心。お世話になった会社へ、自分の思いをお伝えし、これまでの感謝を語り、辞めて渡航することを伝えたら、「カナダから帰ってきたら、何をするつもりなの?」という不意な質問。
辞めてカナダに行くことしか考えていなかったので、「たぶん、デザインの仕事を続けると思います」と返答。社長はすかさず「じゃあ辞めずに、休職して行っておいで」と言ってくれました。

こんな送り出しをしてくれた会社に「何かを掴んで帰ってくるしかない!」という思いでカナダへ出発。人生のターニングポイントがあるならば、間違いなく、このカナダ渡航・ワーホリ体験がターニングポイントになりました。

いろんな出来事は端折りますが、初海外、ボランティア活動、出会った多国籍の人たち、伝えたくても伝わらない言葉の難しさ、この経験を経たことが自分のプラスになったことは間違いないのです。

このカナダでの経験・学びが、新しい自分のチャレンジへの道になり、起業するきっかけになりました。